ちょっと奥さんお聞ききになりまして!?あの!『星をみるひと』が! 今さらSwitch 版が出るんですってよ!こいつは事件ですよ!
あまりにもびっくりしたのでやたらにびっくりマークが付いてしまいましたわ。
えー。そもそも本作品は『クソゲー』として名を馳せたものです。もうしょっぱなから無理ゲーで、最初の村が見つからないのがデフォという斬新すぎる開幕。システム面についてはおよそゲームとして成り立ってないというのが大勢の評価ですね。かといって進行不能バグ的なお話ではないので、絶対にクリアできないのではないところがまたイカしてるわけですが、最後までたどり着けた人は激しく根性と忍耐のある少数だけだったという、伝説級のクソゲーであります。
ところがストーリーや世界観設定の面におきましては評価ががらりと変わり、当時のファミコンRPGでは珍しかった、ディストピアもののハードなSFとして高評価を得ているというわけで。そもそもクリアできた人が少数だったために、そっち方面の良さというものも極く少数にしか知られていなかったのですが、あまりにもすげえストーリーだったため信者が発生、彼らがこれを強く広めた結果、「ストーリーは超いいのにシステムは超クソ」な作品として知られるようになったのですな。
そこまでなら割とあるお話なんですが、本作のすげえところは「二次創作どころか三次創作を展開せしめた」ところにあります。ファンが勝手に作ったリメイクゲームがありましてつまり二次創作というやつですが、それが良くできた作品だったためさらにその二次創作が作られた、つまり三次創作まで行ったというものです。同人ゲームでは作者以外の手でヴァリアントが作られることは割とある話なのでそう珍しくないとは言え、それはふつー同人ゲーの同人ゲーのことでありますので、大元が商業作品というケースは珍しいのでは。
ていうか色々危険だから「この作品の二次創作です!」と公言しないケースは多いんですが(公言しなくてもプレイしてみれば元作品はわかるからね)、これは公言しています。その意図は多分、クソいシステムのせいでこのすんばらしい設定とストーリーが世に出ないのは惜しすぎる、そうだシステムをクソじゃなくすればいいんだ!て考えて実行しちゃったんだわなあ。
もちろん著作権上はナニがアレですが、ファン活動としてはかなり度を越して熱意がなければゲーム一本完成させることなんてできないですから、これは『星をみるひと』の信者製造能力すごすぎるとしか申し上げようがないでしょう。プレイヤー達にそこまでの熱意を発生させる何かが本作品にはあったというわけで、その地力が買われて今回のリメイクと相成ったのでしょうなあ。
ていうか、この二次創作の作者さん元ゲームを最後までクリアできるような人材ですから、根性忍耐面ではかなり高レベルでいらっしゃるはずで。ゲーム一本完成させるくらいはそりゃできるでしょっていう話でもありますが。
逆に、それらの二次創作三次創作作品の存在がなければ、こんなクソゲーをマジにリメイクするなんてこと自体ありえなかったはずで、おそらく著作権者もそこに文句をつけることはないのではないかなと思います。取り敢えずファンによる2作品は今もネット上で健在ですので、興味のある方はダウンロードしてプレイしてみるといいっすよ。タダだし笑。
ていう経緯ですので、これリメイクというよりはベタ移植になろうかと。新しく作り直すんだから改良しよう、っていうのはもうファンが2度もやっちゃってるから、下手に改変するよりはクソだろうがミソだろうが当時そのままの状態を再現するほうがよさげ。今となってはもう誰もが最初の町の場所知ってるから迷う心配ないし。
それとも誰でも遊びやすく改変しちゃうんですかね?どっちにしろ二次創作三次創作のシステムをそのまま使うわけにはいきません、サガシリーズの戦闘システムまんまだからねえ。超能力ものつながりでサガを流用したんだろうとは思いますが、何度か申し上げています通りサガファンというのはファンというより信者の面が強うございますので、信者気質つながり的にもサガを用いたというのは諸々納得せざるを得ない所です。
そんなわけでレトロゲーなため今時の若い者がやるかどうかは未知数ですが、管理社会の闇を描いている点で現在の状況と似通った所がありますので、やってみると面白いとは思います。
余談ですが、当時は二次創作の制作中ずっとヲチってましたので、おーおーやってますな、と楽しく拝見していたのですが、後にこの作品制作がきっかけで、二次創作の作者氏と絵師さんがめでたくご結婚なさったなど。なかなかに味わい深いオチがついたものですなあ。